2017年08月18日
保険の窓口だけじゃない保険の選び方まとめ【完全版】
- 2018年01月27日
- マネー・保険
保険相談をしようと思った今、どこに相談しようとされていましたか?
保険は知識や経験がないと一人では中々選べることができない商品のため、最適な保険選びをするためには、「どこで相談するか」が重要なポイントとなります。
誰かに勧められるがまま相談をし、納得しないで保険に加入してしまわないよう、ここでは、保険相談の方法について代表的な4つの相談先をご紹介し、ご自分にあった相談方法を見つけるために、それぞれの特徴やメリット・デメリットをすべてお伝えします。
- 1. 代表的な4つの保険相談の方法
- 2. 保険ショップに保険相談
- 3. ファイナンシャルプランナーに保険相談
- 4. 保険会社に保険相談
- 5. 銀行窓口に保険相談
- 6. まとめ
1. 代表的な4つの保険相談の方法
保険相談には、代表的な方法が4つあります。
1つ目は「保険ショップ」です。保険ショップは保険会社の代理店ですが、一社専属の代理店ではなく、複数の保険会社と代理店契約を結んでいる乗合代理店のため、一つのお店で色々な保険会社の商品を検討することができます。
2つ目は「ファイナンシャルプランナー」です。略称でFP(エフピー)とも呼ばれます。ファイナンシャルプランナーは、保険を含む、金融の総合的な知識をもとに、家計や保険の設計・見直しを専門とする職業です。
ほとんどのファイナンシャルプランナーは、どこかの乗合保険代理店に所属していて、保険ショップと同じように、複数社の保険を取り扱っています。
3つ目は「保険会社」です。保険ショップとファイナンシャルプランナーとは異なり、保険のメーカーの直接相談する方法です。
保険会社は、営業職員を抱え、主には訪問販売で、保険の相談・提案から契約までを行っています。保険会社に所属する女性の営業職員を、「生保レディー」や「保険のおばちゃん」と言ったりすることもあります。
保険会社は、全国に販売網を広げるため、自社の営業職員の他に、専属代理店を持っています。例えてみれば、パナソニックの製品だけを扱っている「パナソニックのお店」のようなお店を持っているのです。
4つ目は「銀行窓口」です。銀行窓口販売を略して「銀行窓販」呼ばれることもあります。銀行の支店に行くと、「保険」というコーナーやカウンターを目にしたことはありませんか?それが銀行で保険の相談をする場所となります。
2007年12月に銀行保険の販売が全面解禁されたことで、多くの銀行で保険を取り扱うようになり、メインバンクや住宅ローンを借り入れている銀行で、保険を相談・検討する人が急速に増えるようになりました。
このように保険相談の方法には「保険ショップ」「ファイナンシャルプランナー」「保険会社」「銀行窓口」の大きく分けて4つがあります。同じ保険商品で同じ内容であれば、基本、どこで加入しても保険料は変わらないので、どこで保険を相談するかを考えた上で、保険商品を選びましょう。
続いて、それぞれの特徴やメリット・デメリットを、最近の消費者の傾向を踏まえて、詳しく見ていきましょう。
2. 保険ショップに保険相談
最近、街でもよく目にするようになった保険ショップ。保険ショップとは、複数の保険会社を取り扱うことができる乗合保険代理店が、店舗をかまえお客様に来店いただく、新しいタイプの保険相談として話題になり、「来店型保険ショップ」と呼ばれることもあります。
保険ショップは1999年に「保険クリニック」、2000年に「ほけんの窓口」が第一号店を出店し、ここ15年で様々な企業の保険ショップ業界への新規参入が相次ぎ、全国には2,000店舗を超える勢いにまで成長しています。
2-1 保険ショップの特徴
テレビCMを放映している保険ショップもあり、急成長している保険ショップ業界ですが、ここでは、各保険ショップに共通している4つの特徴を紹介します。
2-1-1 自らお店に行くからこその気軽さ
保険ショップが登場する前までは、保険というと、保険会社の営業マンに自宅に来てもらって、提案してもらうことが一般的でした。
家に人を入れることに抵抗を感じたり、契約しないと帰ってくれないのではと不安を感じる人も多くいらっしゃいました。
しかし、保険ショップの登場によって、保険は自らお店に行って選ぶものという新しい保険の選び方が徐々に定着していき、今では、その気軽さが人気の理由ともなっています。
お店であれば、「この保険に入りたくない」と思ったら断って席を立つだけで大丈夫ですし、周りの目もあるので、強引な勧誘や営業が起こりにくい仕組みとも言えるでしょう。
2-1-2 ショッピングセンターや駅前で相談
多くの保険ショップは、お客様が来店しやすいショッピングセンターの中や、駅前に店舗を出店しています。そのため、お買い物のついでや子供の習い事の送り迎えのついで、仕事帰りに寄るなど、ちょっとした空き時間に保険相談ができます。
最近では、イオンやイトーヨーカドー、ららぽーとなど、大型の商業施設には、ほぼ保険ショップが入っていて、ショッピングモールの多い都心部では、移動圏内に複数の保険ショップを利用できる地域もあります。
東京・名古屋・大阪などの大都市では駅周辺にも保険ショップが点在しているので、夜、仕事帰りに立ち寄って、保険の相談をすることができます。保険ショップによっては、夜9〜10時頃まで営業している店舗もあります。
2-1-3 複数の保険会社を1つのお店で比較
どの保険ショップ運営会社も謳い文句として掲げているのが、「複数の保険会社から選べる」という点です。というのも、これまでは保険会社に相談し加入することが一般的であったため、複数社から選べるということは保険業界においては、大きな革新だったと言えます。
複数社と言っても、取り扱っている保険会社やその数には、利用する保険ショップによって異なります。それは、その保険ショップを運営している会社(募集代理店)が、どこの保険会社と代理店契約を結んでいるかによって変わってくるためです。
取り扱い保険会社の数は、多いことにこしたことはないと考える人もいますが、保険会社の数が多い点と、いい商品が選べる点が必ずしもイコールとはならないことを覚えておきましょう。
そもそも、日本は世界で見ても保険会社の数が多い国の一つで、生命保険と損害保険を合わせると、50社以上の保険会社があります。
保険ショップのプランナー(担当者)は、多くある保険会社の中から、お客様にあった商品を選んでいくわけですが、一人のプランナーが覚えきれる商品知識には限界があり、またパソコン等のシミュレーションを併用したとしても、広く浅い知識ではお客様にあった保険を提案することはできません。
そのため、ただ保険会社の数が多いということだけで、お店を決めてしまうのは、リスクがあるので、慎重に選ぶようにしましょう。
ただし、取り扱い保険会社が2〜3社程度で「保険ショップ」と表現している保険代理店もありますが、あまりに少ないと、もっと自分にあった商品が他にあっても比較・検討ができないケースも考えられます。
チェーン展開している保険ショップでは、多い店舗では30〜40社、少ない店舗でも10〜20社の保険会社を取り扱っていることが一般的です。
2-1-4 生命保険と損害保険も相談できる
死亡保険や医療保険、がん保険など、人についての保険(生命保険)だけではなく、自動車保険や火災保険、地震保険など、物についての保険(損害保険)を相談することができることが、保険ショップの特徴です。(少ないですが一部の保険ショップでは生命保険のみ店舗もあります。)
保険の提案・販売(募集)をするのには、資格が必要となりますが、実は生命保険を販売するための資格と、損害保険を販売するための資格は別のため、両方の商品を募集するためには、2つの資格が必要となります。
保険ショップにいる多くのプランナーは、幅広い商品ラインナップを扱うため、生命保険募集人資格と損害保険募集人資格の両方を有していることが一般的です。
そのため保険ショップ以外の保険相談先では、中々生保と損保を合わせて相談できる場所が限られるため、保険のことをトータルで相談できる保険ショップが便利だと言われています。
2-2 改正保険業法による保険ショップの変化
保険の募集(提案・販売)にあたっては、保険業法という法律が定められています。しかしながら、保険業法は保険ショップが登場する前に定められたもので、現在の保険市場や販売のスタイルとは大きな不一致が起こっています。
ルールが明確に定められていないため、一部の保険ショップでは、お客様の希望に沿っていない提案をしたり、保険会社からもらえる販売手数料(代理店手数料)が多く利益率の高い商品を中心に販売するなど、利益を優先してしまった結果、お客様にとって不利益な保険販売が発生していました。
そこで金融庁を中心に、保険の販売手法を改め健全化するために、保険業法を改正する動きがあり、新しい保険業法「改正保険業法」が2015年5月に公布され、2016年5月29日に施行されることとなったのです。
改正保険業法の公布後は、一部の保険ショップでは体制整備が間に合わないことや、経営方針と一致しないなどの理由から、店舗を撤退をしている会社もあったようです。
施行後は、これまでのお客様を無視した利益優先の販売方法は違法となるため、改正保険業法の公布後、各保険ショップは、法律に準拠した販売方法をとるために、体制の見直しを行ったのです。
2-2-1 提案から契約までのプロセスを記録
保険業界は、保険ショップに限らず、販売する側の立場で考えると「契約数」が重要な指標となります。そのため、目標の契約数を達成するために、強引な営業や無理な勧誘をしてしまう保険ショップも存在していました。
改正保険業法では、このような事態を防ぐために、お客様の意向把握を義務付け、提案から契約までのプロセスを記録し、いつでも確認できるようことを定めました。
これによって、保険ショップでは、まずお客様の意向を確認をし、その後、適切な手順で保険を提案し、何か問題があった場合には、提案から契約までの手法やプロセスを振り返れる仕組みや体制が必要となりました。
2-2-2 複数社の中から商品を選んだ理由を説明
一部の保険ショップでは、複数社から選べる点を謳い文句に、実際は利益率の高い商品を中心にお客様へ提案するなどの行為がありました。改正保険業法ではこれを防ぐために、比較ができる商品の全容を明示し、勧める理由をお客様にわかりやすく説明する情報提供義務が定められたのです。
つまり正当な理屈なく、ただ販売手数料や代理店手数料が高いという裏の理由だけで、商品を勧めることができなくなったのです。
2-2-3 大型保険代理店向けの規制も新たに追加
今回の改正保険業法では、「特定保険募集人」といって大型保険代理店には、新たに募集人の届出を義務付けられるようになりました。
これまで、保険ショップをはじめとする保険代理店は、生命保険や損害保険の募集人資格を取得すれば、保険の募集(つまり提案や販売)ができていましたが、保険ショップなど、保険ショップはこれまでの保険代理店とは規模も形態も異なるため、新たな規制を設けました。
主には、生命保険・損害保険・少額短期保険のいずれか15社以上取り扱っている場合や、複数の保険会社取り扱っていて生保・損保・少額短期のいずれかの手数料等の総額が年間10億円以上の場合は、特定募集人としての届け出が必要となります。
特定募集人になると、事業報告書の作成が必要となり、その中では、取り扱い保険会社別・商品別の代理店手数料を月次で報告するなど、今回改正保険業法で大きく変わるルールに遵守して保険の販売をしているかどうか記録・チェックする仕組みができました。
2-3 保険ショップのメリットとデメリット
2000年前後に日本に保険ショップが誕生して以来、たった15年間で全国に2000店舗以上の勢いで急成長してきた新しい保険の加入方法は、魅力的なサービスも多いのですが、保険業法改正に伴う、体制整備に追われているなど、まだまだ未熟な点もあるのが実態と言えるでしょう。
ただし、改正保険業法施行後は、法律に準拠しない販売方法を取った場合、罰せられることとなるため、現在、運営を続けている保険ショップは、体制整備を行い、正しく保険を販売していこうと閑雅っているはずです。
2-3-1 保険ショップのメリット
保険ショップの特徴とも重なりますが、ショッピングセンターや駅前にあることからの「気軽さ」や、生命保険・損害保険をあわせて検討ができ、複数社の保険会社から選べる「便利さ」が最大のメリットと言えるでしょう。
2-3-2 保険ショップのデメリット
残念なことに、改正保険業法の体制整備に追いついていない保険ショップが少なからずあるということでしょう。また、店舗を毎年純増で出店しているためか、教育や研修が間に合わず、知識や経験が十分でないプランナー(募集人)がいる保険ショップもあります。
保険ショップは、主にショッピングセンターなど商業施設の中にあるため、他のお客さんや通行人に話が聞こえてしまう場合もあります。自宅で相談するの比べるとオープンな雰囲気のため、それがメリットでもあるのですが、プライバシーに不安を感じる方もいらっしゃるようです。
2-4 保険ショップ運営会社
保険ショップは、全国に2000店舗以上あると言われていますが、多くの店舗がチェーン展開されています。その中でも100店舗以上をチェーン展開している大手保険ショップ4社の店舗数合計は、1000店舗以上とおよそ50%を占めています。
2-4-1 ほけんの窓口
速水もこみちのテレビCMでもお馴染みの「ほけんの窓口」は、全国に550店舗を展開する業界最大手の保険ショップです。赤い看板と覚えやすいブランド名であることから、多くの人が利用している保険ショップです。
北は北海道から南は沖縄県まで全都道府県に店舗を出店していて、全国にお住まいの方がほけんの窓口を利用することができます。
テレビCMも放映している人気な保険ショップだけあって、公式ホームページではネット予約も充実しており、全国の店舗の空き状況を一目で確認できるようになっています。
旅行保険や自転車保険など少額の保険についても相談できるので、保険ショップの中でも、ほけんの窓口は、「気軽さ」には特に強みを持っていると言えるでしょう。
2-4-2 保険見直し本舗
山PのCMが人気な「保険見直し本舗」は、全国に200店舗以上を展開する大手の保険ショップです。店舗名に「保険見直し」というの付いていることもあって、生命保険の見直しには特に力を入れている保険ショップです。(もちろん、通常の保険ショップのように新規加入の相談もできるようです。)
全国に200店舗以上を展開している保険見直し本舗は、大手の保険ショップの中では珍しく全店舗直営で運営をしています。そのため、店舗ごとの取扱保険会社の違いは原則なく、全国一律どの店舗でも保険見直し本舗のサービスを受けることができるようです。
2-4-3 保険クリニック
保険クリニックは、全国に約150店舗を展開する保険ショップです。1999年に日本で初めて来店型保険ショップをオープンして以来、16年間保険ショップを運営してきた信頼と実績が特徴です。
公式ホームページでは「無理な営業・しつこい勧誘は絶対にいたしません」と明言していて、相談内容に応じて、数十種類の保険商品を比較検討することができるようです。
保険クリニックは、グループ会社にシステム会社を抱え、独自に開発した「保険IQシステム」という保険の提案をサポートするシステムによって、プランナーの主観によって提案に偏りが出ないようになっています。
2-4-4 みつばちほけん
みつばちほけんは、全国に100店舗以上を展開する保険ショップです。みつばちのキャラクターが子供にも人気がある保険ショップです。
お子様連れのお客様でも安心して保険相談ができるよう、店内は明るく雰囲気と、楽しいキッズスペースも設置されていいることが特徴です。
2-4-5 イオン保険ショップ
小売り最大手のイオンは圧倒的な集客力と自前のテナントを活かして、「イオン保険ショップ」を全国120カ所以上のイオンモールやイオン系列のショッピングセンターに出店し、大手保険ショップと並ぶ規模の店舗数を有しています。
イオンは、保険ショップの他に、イオン銀行やイオンクレジットカードなどの金融サービスを持ち合わせているため、モールによっては、「暮らしのマネープラザ」という名前で総合的な金融サービスを提供しています。
また、ほけんの窓口や保険見直し本舗など、大手の保険ショップもイオン系列のショッピングセンターへ出店しているので、今後も出店競争が激しくなりそうな予感です。
2-4-6 その他の保険ショップ
大手保険ショップで約半数の店舗を占めていますが、50〜70店舗規模の中堅保険ショップも急成長を遂げ、大手との店舗出店競争が過熱しています。
また、住友生命のグループ会社が運営する「ほけん百花」や、日本生命の買収に傘下に入った「ライフサロン」など、生命保険会社による保険ショップへの参入も活発化していきています。
保険ほっとライン
名古屋をはじめとした中京圏や関東圏に多くの店舗を出店している「保険ほっとライン」。自社、保険ショップ大学を立ち上げ、人材育成にも力を入れています。
保険ほっとラインは、1998年愛知県安城市にアフラックサービスショップの第一号店としてスタートし、以来、保険販売のチャネルの多様化を先駆けて、保険ショップを全国に展開しています。
ほけん百花
ほけん百花は、住友生命の子会社が運営する保険ショップで、東京・神奈川・千葉・埼玉をはじめ、近畿・中部エリアにも保険ショップを展開しています。
イオンやイトーヨーカドーなどのショッピングセンターをはじめ、海老名ららぽーとやMARK IS みなとみらいなど、新しい商業施設にも積極的に新規店舗をオープンしています。
便利な場所にあるだけでなく、住友生命出身の女性プランナーが多い印象で、生命保険だけではなく、自動車保険や火災保険などの損害保険もまとめて相談ができます。
その他
保険テラス
保険ひろば
ライフサロン
保険相談サロンF.L.P
ほっ!と保険
保険デザイン
3. ファイナンシャルプランナーに保険相談
金融の知識を持ち合わせたお金のプロと言われる専門家がファイナンシャルプランナー(通称:FP)です。ファイナンシャルプランナーの多くが保険を取り扱っていて、家計やライフシミュレーションを含めた保険の相談をすることができます。
保険を取り扱っているファイナンシャルプランナーは保険代理店に所属をしていて、保険ショップのプランナーと同様に、保険販売の資格(募集人資格)を持っています。
保険ショップとは異なり原則お店がないため、お客様の方から相談をしにきてくれる訳ではないので、ある程度の経験や実績を積んで、お客様が口コミや紹介で集まったり、人的なネットワークを構築している状態でないと、ファイナンシャルプランナーを仕事にすることは難しいとも言われています。
3-1 ファイナンシャルプランナーの特徴
ファイナンシャルプランナーの保険相談を利用される方の理由にも挙げられる3つの特徴についてご紹介します。
3-1-1 自宅やカフェ・ファミレスで相談
ファイナンシャルプランナーは、一般的には店舗をもたず、訪問して提案や相談を受ける営業スタイルをとっているため、自宅やカフェ、ファミリーレストランなどに訪問して、保険相談を実施します。
保険ショップだと、周りの目が気になって集中できない方や、家事や育児・介護等でなかなか外出sすることが難しい方は、自宅にいながらにして、保険の相談をプロにすることができます。
3-1-2 ライフプランニングなど家計全体の提案
ファイナンシャルプランナーは、名前の通り保険だけではなく、金融全般の知識を兼ね備えた専門家のため、保険の提案においても、ライフプランニングやライフシミュレーションなど、家計や世帯全体のお金を考えながら、保険の相談を進めていきます。
保険と一口で言っても、死亡保険と医療保険では、目的や必要となるタイミングが異なり、家族形態や世帯年収に合わせた商品を選んでいく必要があります。
ファイナンシャルプランナーは、今必要な保険だけではなく、今後、何が必要になるかまでを見越して提案をすることが最大の特徴と言えるでしょう。
3-1-3 複数の保険会社を比較
FPは、複数の保険会社を取り扱っている乗合保険代理店に所属しているため、複数の保険会社の中から提案することができます。保険会社の営業職員も訪問による販売スタイルをとっていますが、複数社の商品を取り扱えるのは、ファイナンシャルプランナーの特徴です。
ファイナンシャルプランナーの多くが、経歴として元々は保険会社に所属していた場合も多く、保険会社の営業職員の良さとファイナンシャルプランナーならでは柔軟性をもったプランナーもいます。
多くのFPは、生命保険をベースとした営業スタイルをとってるため、自動車保険や損害保険の相談ができない場合もあります。(損保の相談を希望される場合は、相談前に担当のFPに確認をしましょう。)
3-2 改正保険業法によるファイナンシャルプランナーの変化
改正保険業法の中でも、既に施行されている委託型募集人の禁止は、ファイナンシャルプランナー業界に大きな打撃が走りました。委託型募集人とは、フリーランスの保険営業マンのような形で、保険代理店と募集委託契約を結ぶことで、その代理店が取り扱っている複数社の保険商品を取り扱えるようになるもので、ほとんどのケースが、出来高払い(フルコミッション)で契約されていました。
3-2-1 フリーランスの保険営業マンの禁止
2015年3月末をもって、委託型募集人が禁止となり、いわゆるフリーランスの保険営業マンは、どこかの保険代理店の社員などで雇用される形でないと、保険の募集ができないようになりました。
なぜこのような法律の改正が行われたかというと、委託型募集人は、基本、委託契約を結んでいる会社に毎日は出社せずに、自分のスタイルで保険営業をする形であったため、新規契約を獲得することに注力するあまり、本来必要な商品知識が浅いまま契約を行い、契約後、消費者との間でトラブルが多発していました。
また、委託をしている保険代理店も、出来高払いのため、リスクが低い一方で、本来保険代理店が募集人に対してすべき研修や管理を怠り、新規契約を取ることだけに集中してしまう構造に金融庁が指摘し、FPであっても、原則雇用をして、教育管理・指導を徹底するように、法律が改正されました。
もちろん、改正前においても豊富な商品知識や経験をもとに、全うな保険販売(募集)をしていたファイナンシャルプランナーも多かったのですが、これによって、FPを抱える保険代理店は、雇用による社会保険や最低賃金の保障などでコストが急激に増加し、ファイナンシャルプランナーの事業から撤退した企業もあるようです。
この保険業法は既に施行されているため、現在、活動しているファイナンシャルプランナーは、どこかの保険代理店に雇用等で所属しているプランナーで、法律に準拠して保険の営業をしています。
3-3 ファイナンシャルプランナーのメリットとデメリット
お金のプロと呼ばれるファイナンシャルプランナーは、まだまだ日本では認知されていない保険相談の方法ですが、お金全体をトータル的に考えながら、保険を選べることには多くのメリットがあります。
3-3-1 ファイナンシャルプランナーのメリット
FPの特徴ともかぶりますが、ファイナンシャルプランナーの最大のメリットは、自宅でお金の専門家に保険や家計を相談できることです。保険ショップや保険会社は、保険のプロであっても、お金や金融の専門家とは限りません。一方で、ファイナンシャルプランナーは、金融全般の知識をベースに保険の提案をすることができます。
また、来店型保険ショップのようにお客さんを待っていれば契約がとれるものではないので、提案力や経験・実績・人脈、そして何より人柄がとても重視されるのもFPの特徴です。
筆者もファイナンシャルプランナーの知り合いが何名かいますが、いずれの方も、見た目がとても爽やかで聞き上手な方が多いです。
3-3-2 ファイナンシャルプランナーのデメリット
ファイナンシャルプランナーの資格は複数あり、またFPを名乗るために必要な免許等はありません。そのため、経験や知識が浅い人でも、ファイナンシャルプランナーと書いた名刺を持っていれば、パッと見では判断ができません。
ファイナンシャルプランナーを選ぶときは、資格の他に、金融や保険業界における経歴や実績なども確認するようにしましょう。
ファイナンシャルプランナーは、保険代理店に所属していますが、保険業法が改正した今でも、業績による収入(コミッション)の違いがある給与形態であることが多いため、個人事業主に近く、契約を取るために、強引な営業や無理な勧誘を強いるようなスタイルをとっているFPも少なからずいます。FPの相談を利用される場合は、勧誘などストップしてくれる紹介会社を経由して利用されることをおすすめします。
3-4 ファイナンシャルプランナー紹介会社
ファイナンシャルプランナーは乗合保険代理店に所属していますが、FPに相談する方の多くが、紹介会社を利用しています。紹介会社を利用することで、相談内容に応じて適切なFPを紹介してもらうことができます。また、FPとの間に万が一トラブルがあった場合も、紹介会社が仲介をして対応してもらうことができます。
3-4-1 保険マンモス
ファイナンシャルプランナーの紹介会社で最大手が「保険マンモス」です。平均22社の保険商品を取り扱うことができるプランナーを紹介しています。
また、保険マンモスの提携しているファイナンシャルプランナーは、FP資格保持者がほとんどでAFP、CFP、MDRTなどの基準達成者も多くいらっしゃるようです。
保険マンモスは、FP紹介サービスのパイオニアなので、サービスの運用実績も長く、コールセンターなどサポートも万全なので、きっと相性の合うファイナンシャルプランナーを見つけることができるでしょう。
3-4-2 みんなの生命保険アドバイザー
ファイナンシャルプランナー紹介サイトの「みんなの生命保険アドバイザー」は、全国のFPに無料で相談ができるサービスです。
またストップコールサービスを提供していて、万が一相談したFPがしつこい営業をしてきた場合は、みんなの生命保険アドバイザーが電話一本で無料面談の中止や 担当者の変更を承ってくれる便利で安心なサービスがあります。
4. 保険会社に保険相談
従来からある保険相談の方法が、「保険会社」に相談する方法です。保険会社に務める知り合いや友人から紹介された営業職員から保険に加入した方も多いのではないでしょうか。
日本には約50社の生命保険会社があり、大手のほとんどの保険会社が営業職員を自社で抱え、訪問による営業スタイルで保険を販売しています。
保険会社の営業職員のことを、生保レディーや保険のおばちゃん、保険の営業マンと呼ぶこともあります。また、ここでは、1社の保険会社しか取り扱わない保険会社専属の保険代理店も含めた内容でお伝えします。
4-1 保険会社の特徴
保険会社の特徴は、メーカーならではの潤沢な資金を活かした圧倒的な営業網が特徴です。保険ショップやファイナンシャルプランナーは契約をすると、保険会社から販売手数料を受け取りこれを主な収益としていますが、保険会社は自社で保険を作っているメーカーですから、保険を仕入れている保険代理店に比べると、販売にかける費用を多くすることができるのが一般的です。
有名俳優や女優を起用した保険会社のCMをよく目にすることはありませんか?これは、保険会社が莫大な費用を広告宣伝費にかけていることをまさに表しています。
最近では急成長している「ほけんの窓口」や「保険見直し本舗」などの大手保険ショップもテレビCMを放映するようになりましたが、日本生命、アフラック、住友生命、ソニー生命、メットライフ生命などなど保険会社の方が圧倒的にテレビCMを流している企業が多いことがよくわかります。
4-1-1 生保レディー(営業職員)による訪問販売
保険会社の営業にベースは、営業職員による訪問販売(手売り)です。全国に支店を配置し、多くの営業職員を、企業や家庭に訪問させ、保険の提案をするスタイルで、日本で生命保険が販売されるようになってからずっと変わらない手法です。
近年では、企業のセキュリティー強化などによって、保険の営業職員がオフィスの内部まで入って提案・営業することが難しくなってきていることから、自宅やカフェに訪問して保険相談をしたり、保険ショップのような装いの相談窓口をかまえ、そこで保険相談を実施する保険会社も増えてきました。
4-1-2 自社商品の知識と販売実績
保険会社に相談する特徴として、原則、自社の商品しか提案・販売しないため、保険ショップやファイナンシャルプランナーに比べて、必然的に自社商品の知識と販売実績が多くなります。
大手の保険会社であれば、死亡保険、医療保険、がん保険、介護保険、個人年金保険、学資保険など、一通りの種類は取り扱っていることが一般的なので、自社の商品を組み合わせて提案することが多いです。
4-2 近年の保険会社の変化
保険ショップの人気の高まりやライフネット生命を発端とするネット生保の登場によって、保険会社にも変化してきています。
保険会社は、これまでの強固な販売網をベースに、新たな事業にも積極的に参入しているので、保険会社の動向にも注目が集まっています。
4-2-1 保険ショップ業界への参入
保険会社と保険ショップは、対峙している関係にも思われていましたが、消費者が複数の保険会社から選びたいニーズがあることを保険会社も認識し、保険会社が保険ショップ業界へ参入する動きが見られています。
例えば、住友生命はグループ会社で「ほけん百花」という保険ショップを展開しています。取り扱い保険会社にはもちろん住友生命も含まれていますが、ほけん百花の店舗では、当たり前ではありますが、住友生命を全面に出していることはなく、一般的な保険ショップと同様な面持ちの店舗となっています。
また、生命保険会社最大手の日本生命は、中堅保険ショップであった「ライフサロン」を買収し、ここ数年で300店舗近くまで店舗を増やすことを発表しています。「ニトリのほけん+ライフサロン」という形態で、異業種である大手家具量販店である「ニトリ」の中に保険ショップを出店するなど、ユニークな試みにも積極的に挑戦しています。
そして、同じく日本生命は、NTTドコモとの事業提携を発表し、ドコモショップのカウンターで保険を取り扱うように取り組むそうです。全国にドコモショップは約2,400店舗ありますので、もし仮に全店舗で保険を取り扱うようになれば、現在の保険ショップの数を上回ることとなります。
保険ショップへの直接的な参入以外にも、来店型保険ショップ向けの商品を保険会社が開発するなど、保険会社と保険ショップの関係はこれから成長していきそうです。
4-2-2 ネット生保による割安な保険
2008年にライフネット生命が誕生して以来、それまでタブーとされてきた生命保険のネット販売が急激に広まりました。
ライフネット生命などのネット専売のいわゆるネット生保は、これまでの保険会社のように大量の営業職員を抱えて保険を販売する方法ではなく、インターネットによる販売をすることで、コストを安くし、大手保険会社に比べ圧倒的に安い商品が販売できるようになりました。
しかし、既存の保険会社も、次々とネット生保への参入をし、競争が激化するようになりました。
ネット生保の最大の魅力は割安な価格ですが、一方で人を極力介さないことによって、その価格が実現できていることもあるため、相談をしながら選ぶという点においては、コールセンターやチャットなどを設置し努力しているものの、まだまだ課題が多いのも現状です。
4-3 保険会社のメリットとデメリット
一見、保険会社に相談するのは複数社から選べないなど、不便な点が多くあると感じるかもしれませんが、それでもなお保険会社で保険のことを相談し、加入している人が7割近くいます。
それは、圧倒的なマンパワーと、長年培ってきた保険販売の実績をもとに考えられた販売方法だと言えるでしょう。
4-3-1 保険会社のメリット
全国どこにいても、ほとんどの保険会社が各都道府県に支店を持ち、営業所や専属代理店を加えるとコンビニ以上の数以上のネットワークがあると言われています。
保険のことはよくわからないけど昔からお世話になっているあの保険の営業職員にお願いしておけば安心という方や、やっぱりこの保険会社が好きと、特定の保険会社に興味を持っている人にとっては、安心して保険相談ができる方法と言えるでしょう。
また、既に保険のことを調べていて、加入したい保険会社が決まっている方は、保険会社に直接相談することで、スムーズに契約まで進めるメリットもあります。
4-3-2 保険会社のデメリット
保険会社を選ぶ人にとっては関係のないことかもしれませんが、複数社の保険会社から保険を選ぶことができない点はデメリットと言えます。また、仮に他社の商品の方がお客様に合う商品があることを営業職員が知っていたとしても、それを売れないジレンマもあるでしょう。
5. 銀行窓口に保険相談
2007年12月に銀行での保険販売(銀行窓販)が全面解禁されてから、多くの銀行の支店で、保険の窓口やカウンターが設置され、保険販売による業績を伸ばしてきました。
銀行は口座を持っている人が既にいて顧客がいるので、広告宣伝等を行わなくても、お客様が支店に訪れた際に保険の営業や提案ができる特性があります。
5-1 銀行窓口の特徴
銀行窓口は、口座や住宅ローンの借り入れのある既存のお客様を持っているので、その人々へ保険提案をすることで保険の販売へと結びつけています。
5-1-1 貯蓄性の高い商品の提案に強み
銀行窓口による保険相談の場合、既にその銀行で口座がある人が多いため、預金残高等ももちろん把握しています。その特性を活かして、個人年金保険など貯蓄性の高い商品の提案や販売に強みを持っています。
金融の中心的な存在である銀行が、貯蓄を中心とした保険を提案することで、より現実味があり、預金と保険料のバランスについても相談がしやすいでしょう。
5-1-2 銀行窓口販売専用の保険商品
銀行窓口では、銀行窓口専用に作られた保険商品も販売しています。これは保険会社が銀行向けに作っているので、銀行や信用金庫などの金融機関以外の保険ショップなどでは原則加入ができない商品となります。
5-2 近年の銀行窓口の変化
銀行窓口販売が解禁になってから、多くの金融機関が保険販売に参入し、最近では郵便局もかんぽ生命に加え、アフラックの販売も開始するなど、金融機関による保険販売も多様化してきています。
5-2-1 大手保険ショップとの提携
保険ショップ最大手のほけんの窓口は、地方銀行と提携し、ほけんの窓口の販売ノウハウを銀行に提供しています。これまで銀行はお金のプロであって、保険のプロではないと考えられることもありましたが、既に販売ノウハウをもった保険ショップとの連携で、銀行でも、気軽に保険の相談ができるようになってきています。
5-2-2 医療保険・がん保険にも注力
個人年金や変額保険など貯蓄性の高い保険商品をメインに取り扱ってきましたが、最近では医療保険やがん保険など、比較的保険料の低い商品についても積極的に販売するようになりました。
郵便局によるアフラックの販売もその一つと言えるでしょう。せっかく銀行や郵便局を利用してくれているのだから、貯蓄性の保険だけでなく、保険全体を提案できるようなる傾向が見受けられます。
5-3 銀行窓口のメリットとデメリット
銀行窓口は、ここ数年で急拡大してきているため、取り扱い保険会社や保険種類については、今後増加し、変化していくことが想定されます。
5-3-1 銀行窓口のメリット
銀行で保険についても相談をできるため、銀行と保険の窓口を一カ所にまとめることができます。また、普段行きなれ、既に信頼関係のある銀行の支店で保険相談ができるので、安心して相談できる点もメリットでしょう。
銀行や郵便局は、保険会社を利用する頻度より多いため、銀行や郵便局側のお客様の様子や好みを予めわかっていることもあるので、初めて保険相談をする場合でも、慣れた感覚をもって相談できるかもしれません。
5-3-2 銀行窓口のデメリット
銀行の支店にいる保険担当が、専任ではなく、銀行行員を兼務している場合、保険の知識にばらつきがあることや、保険種類によって提案力に差がある場合があります。
取り扱い保険会社は複数社であることが多いですが、5~6社であったり、損害保険会社を取り扱っていないなど、保険ショップと比べるとラインナップは少ないことが多いです。
6. まとめ
保険ショップ・FP・保険会社・銀行窓口は、いずれも保険相談ができますが、下記の通り、特徴やメリット・デメリットは異なります。ご自身にあった保険が選べるよう、保険についてどこで相談するかをよく考えましょう。
相談先 | 保険ショップ | FP | 保険会社 | 銀行窓口 |
---|---|---|---|---|
乗合保険代理店 | 乗合保険代理店 | 保険メーカー | 銀行・信用金庫 | |
相談場所 | 店舗 | 自宅 | 自宅 一部店舗有り |
店舗 |
取扱保険会社 (平均) |
10〜40社 | 20社 | 自社のみ | 5社 |
相談料 | 無料 | 無料 一部有料 |
無料 | 無料 |
メリット | 気軽に相談でき、その場で複数社の商品を比較できる | 金融の専門知識をもとに、自宅でじっくり相談ができる | 自社商品についての豊富な知識と契約後のアフターフォロー | 預金や住宅ローンと同じ銀行で保険の相談ができる |
デメリット | 新しい相談方法のため、販売経験の浅い店舗もある | 生命保険の相談がメインのため、損害保険が取扱いない場合もある | 一社の商品だけを勧めるため、他社との比較が難しい | 取り扱っている商品や種類が限定的 |
相談申込方法 | 予約サイト | 紹介サイト | 各社異なる | 各社異なる |
※ご紹介している保険相談の方法は、いずれも個人的な意見であり、それぞれの善し悪しを判断・断定しているものではありません。予めご理解ください。
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